●群馬/吉井町の池田邸
アプローチ 玄関
玄関 コンパクトで暮らしやすいLDK
一直線上の動きやすい水回り 玄関と一体化した寝室 ダイニング・キッチン
・プロローグ
老夫婦が老後をゆったりと過ごす家。
必要最小限の大きさに、自然に気持ちよく住まう。身体にあった適度な大きさが家に
もある。全てはシンプルに表現しています。


 家づくりには様々な出会いがある。
 この家のプロセスには、建て主ご夫妻、特に詩人でもある夫人がまず図書館で私の
著書に出会った。そこで私を知りつつ、次にはOMソーラーの家を発見する。そうして、
当時住まわれていた大宮の旧宅を売却し、かねてからのあこがれであった、山並みの
見える空気のおいしい「終の棲」を新築することになった。ご夫妻の生活は、もとも
とシンプルであり、私に信頼を寄せていただいたこともあって、互いに「終の棲」と
しての理想像を描き合うことが出来た。そうして「終の棲」のプロトタイプといえる
「吉井町の家」が実現した。

□最小動線・最大効果
 階段を真ん中に配置することで、水回り、LDK、そして寝室というように間仕切っ
た。階段回りは収納箱であり、移動の時の手摺役でもある。 北側の水回りは、曲が
りくねることなく、一直線上に配置している。

□玄関のための玄関はいらない
 ご夫妻はよく山歩きをされる。山用の道具や靴の収納など、玄関には大きな収納を
必要とした。そして群馬県高崎市に隣接する吉井町という土地にあって、都市的な玄
関の必要は感じられなかった。玄関は、出入りの空間であり、南入りの場合にはゆっ
たりしたサンルームでもある。夏には、熱負荷に対する断熱ゾーンとしても役立つ。

□老後には安価なランニングコストが一番
 竣工して5度ほどの冬を迎えている。その中でこの家の省エネルギー効果が実感さ
れてきた。太陽熱利用の給湯では、8月のプロパン代がなんと900円だったという。
汗も掻きお湯をたくさん使う時期にもかかわらずにであった。暖房では、補助熱源と
してポット式石油ストーブを利用した温風循環暖房方式を採用しているのであるが、
これも一冬で1万円+αとのこと。

□工事期間中にご夫人が倒れる
 計画というものがやはり予測でしかないということを、工事中に雲膜下症でご夫人
が現実に倒れられることで痛感させられた。
 設計段階で打ち合わせていたキッチンはコの字型であった。設計者としてできる限
り収納を確保し、作業面を広くするという意味ではベストと思って進めていた。ところ
がご夫人が倒れ、幸い軽症で退院され、改めてこの家を見直されたときに、キッチン
のレイアウトが気になったのである。
 それは、コの字型であると、作業しているところから、食堂のベンチに行くまでに
大回りをしなくてはならなくなるからであった。幸い家具の製作の工程に間に合うこ
とができ無事変更したキッチンが作れることになった。
Topへ戻る
作品リストへ