地方都市の衰退する商店街の魅力を再生する
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加賀地方の一城下町である石川県小松市は、かつては繊維の町として大変栄えたが、今現在では飛行場や自衛隊基地があるものの、とくに特徴的な産業もなく、他の地方都市と同じように衰退しつつある。しかしそのような状況にありながらも、官民一体の活性化への努力を惜しみなく注いでもいる。時代の大きな流れの中では、そう容易には活性化への道を見つけることはできないが、将来につながる価値観と表現を一つでも確かな形へとしていきたいというのが、この問題を意識している人間に共通したことと思う。 小松市へは、十年程前から仕事で通っていた。始めは仕事先の企業の飛行場から直接生きそして帰ることが多く、時に商店街を歩くことがあっても、ほとんど商店主たちとはかかわりがなかった。それが、5年程前に小松駅前商店街を舞台に行ったワークショップが機会となり、大変親密な関係となった。2年程前には、「小松市中心市街地中小小売商業高度化事業構想」作成委員会の座長を務めることでさらに商店街への理解を深めることができた。 角源の改装は活性化への一石 ・町屋の姿を取り戻す 単なる一人のデザイナーの発想だけのデザインでは、よほどの天才的な才がなければ,長い年月の中での評価の目に耐えられないものがほとんどではないかと思う。 ・ 商業の原点を歴史から拾う 昔は、日本海が表街道であった。江戸時代の発展した交易の幹線が北前船であり、関西から生活物資が北へ運ばれ、北からはニシンや昆布などの海産物が運ばれてきた。富山県の高岡市、新潟県の燕市などに金属業が根付いたのも出雲から運ばれてきたタタラ鉄があったからこその話なのである。 ・ 漆の里を感じる壁面 漆の代表的な色彩として朱・黒・弁柄(錆朱)がある。そしてテクスチュアーとしては鏡面・塗りたて・乾漆がある。こうした表情を組み合わせて、ディスプレイの壁面を構成した。とはいっても本当の漆を使うには工期が不足していたため、一般の塗装によってイメージだけを繋げることになった。 ・ 町に足りない要素を付加する 小松の町を見ていて一つ残念なことがある。それは、水であり、せせらぎである。昔ながらの集落や町屋の立ち並ぶところには、必ずといってよいほど水の音、せせらぎの輝きは欠かせない。今の小松にはそれが感じられなかった。一つ一つの店舗が改造され、活用される度にせせらぎの表現が欲しいと思う。水の流れは、人を導き癒しを与える。 ・ 蔵を生かす 小松市の駅前商店街には、町屋に付属した蔵が沢山ある。すべての町屋にある訳ではないが、かなりの棟数がある。しかしほとんどの蔵は道路に面していない。公開しようと思っても店の中や住宅の中からしかアプローチできないという悩みがある。現在公開している店舗はこの角源を含めて2軒しかない。これまでの街づくりの提案の中には、蔵を繋ぐ路地づくりというものもあったが実現の動きは残念ながらまだない。もう一軒は、商店会の会長自身の店舗で、婦人向けの洋服屋の中に、ギャラリーとして活用されている。男どもには少し入りづらいのであるが。 ・ 蔵前の中庭を生かす 蔵の前には、中庭があることが多い。道路から店をのぞくと、一番奥にこの中庭が見える。そのような構造を店に取り入れることで、町屋がまた楽しくなる。これも町並みを感じさせる大切な仕掛けである。 ・ 気持ちの良いトイレを提供する 高齢社会の商店街には、気軽に使えるきれいなトイレが欲しい。空き店舗を市が借り入れ、気持ちのよいトイレを作った「タウンオアシス」がすでにあるが、これだけですむことではなく、それぞれの店舗の中に自由に使えるトイレが欲しい。そのような課題に応えて角源のトイレも店から直接入れるようにした。
角源のコンセプト 「極める道」 「楽しむ道」 |
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